聞きなれない筋肉【膝窩筋】とは??
腰痛と脚の筋肉『膝窩筋』の関連性
膝窩筋(しっかきん)とは?
初めて聞く方がほとんどなのではないでしょうか?
でも、変形性膝関節症、ぎっくり腰、夜中にふくらはぎがつるなど足の痛みで来院する患者様の多くが、この膝窩筋の機能不全を伴っています。
膝窩筋は、膝の裏にある筋肉です。
主に膝の屈曲(曲げる)や
下腿の内旋(すねが内側に向く)に作用します。
※内旋とは、写真のように下腿(膝下から足首までの部分)を身体の内側に向かって動かすことです。
膝から下の下腿を内旋させる際には、この筋肉以外にも縫工筋や半膜様筋、半腱様筋や薄筋などの筋肉が作用します。
このうち、膝窩筋は唯一の単関節筋です。 つまり、他の筋肉は股関節にもつながっているため、股関節の動きによっても影響を受けるのに対し、膝窩筋は股関節の影響は受けないという特徴があります。また、関節に付着する筋肉の多くは縦方向であるのに対して、膝窩筋は横方向に走行している筋肉です。
この筋肉は、膝関節の屈曲や伸展動作に制限を設ける働きをしています。
膝窩筋は膝を曲げる、膝を曲げながら足先を内側にねじるときに使われる筋肉です。膝はまっすぐに伸ばすと、動かないように固定されます。そして、膝を曲げようとしたときに固定された状態を解除する働きをするのが膝窩筋です。そのため、膝窩筋は膝の安定性を保つにはとても重要な筋肉となります。
一般的には、膝関節の伸展を制限する筋肉は、膝関節の後面についていることが多く、屈曲を制限する筋肉は膝関節の前面についていると考えるものです。
しかし膝窩筋に限っては、作用と位置において、その概念を覆して後方面に位置しております。 この点が、膝窩筋の大きな特徴です。
膝窩筋は、膝の裏側にある小さな筋肉で、骨に近い部分にあります。 この筋肉の上には腓腹筋が被っていて、腓腹筋の動きと連動しながら補助的に膝の動きをサポートします。また、靭帯・半月板・腱など様々な組織と付着するのがこの筋肉の特徴です。膝窩筋が硬くなったり機能不全に陥ると、これらの組織を引っ張ったり、締め付けてしまったりします。
また、ハムストリング(大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋の総称)や腓腹筋の柔軟性が衰えると常に膝関節が伸びきらず、いつも屈曲状態にあるので疲労が溜まりやすい場所でもあります。
膝窩筋の緊張を取り、きちんと機能させてあげることで膝の動きがスムーズになります。
さらに、膝裏と腰は筋膜でつながっています。
前屈をしてみると、背中からふくらはぎまで伸びていることが実感できます。
つまり、膝裏の膝窩筋を緩めることで、
腰の筋肉の緊張をとることができます!!
膝裏ほぐしで脚のむくみ改善・膝の曲げ伸ばしを楽に!
この筋肉をストレッチすると、筋肉の柔軟性が高まり、膝の動きがこれまでよりも楽になります。 また、可動域が広がりますし、動きがスムーズになることによって、日常生活における動作が快適になるでしょう。
この筋肉は触診することができない膝裏のインナーマッスルですが、ストレッチすることによって柔軟性を高めることができます。 そうすると、膝裏の筋肉のコリがほぐれて血行が促進されると同時に、老廃物が詰まりやすいリンパの流れも促進できます。
膝裏には、リンパ液の中継地点である膝窩(しっか)リンパ節と言われる最も老廃物が溜まりやすい箇所があり、足先から流れるリンパ液が停滞することで、膝関節の可動域低下を引き起こし、また、下半身に老廃物が蓄積される等、むくみの原因にもなります。
下半身には老廃物が溜まりやすいため、日常的にストレッチをして流れを促進することは、疲労物質を体内に溜めこまないという点ではとても重要です。
リンパの循環不良
膝裏にはリンパ節と呼ばれる器官があり、体内の老廃物や水分を排出する機能があります。膝を曲げたときに痛む場合、このリンパ節が膨れて、痛みが起こっている可能性も。
リンパの循環不良の場合、痛みは強くないものの、膝を曲げたり、しゃがんだりするときの違和感が続くことが特徴です。
さらに、ストレスや冷え、運動不足などが続くとリンパの循環不良がおこり、老廃物が詰まって膝裏に痛みが起こります。ストレスをためない、体を冷やさない、適度な運動を習慣にするなどで対処しましょう。
膝裏からふくらはぎの動きを滑らかにし、曲げ伸ばしが楽になる
膝窩筋は、膝関節の上下にある大腿骨と脛骨をつなぐ役割をしています。 筋肉をストレッチして柔軟性を高めることによって、膝関節の動きがスムーズになるでしょう。
また、膝関節だけではなく、膝関節の下にあるふくらはぎの動きに関しても、スムーズで滑らかな動きとなります。 この筋肉はインナーマッスルで、単体だけでトレーニングすることはできません。
そのため、ストレッチをすると周辺の筋肉もバランスよくコリをほぐせますし、結果的にふくらはぎの動きも滑らかになります。
膝窩筋ストレッチのまとめ
膝窩筋は、膝裏を斜めに走る小さな筋肉で、触診できないインナーマッスルです。
膝関節の動きに大きく貢献していて、膝関節に関与する他の筋肉を比較すると、股関節の影響を受けない単関節筋という特徴もあります。
ストレッチすることによって、膝関節の柔軟性を高めて動きがスムーズになりますし、血行を促進して疲れにくい体質づくりにもつながります。
膝窩筋のほぐし方①膝裏を刺激するストレッチ
膝関節の柔軟性を高めたり、ふくらはぎのむくみを解消したりするときに効果的な簡単ストレッチを紹介します。足の疲れが取れないときにも効果的です。
膝裏には神経や血管なども走っているので、強く圧を加えると痛めてしまうリスクもありますので、力を入れすぎずに優しくほぐすのがポイントです。
①体育座りをする
②両手の親指を重ねて膝裏に当てる
③重ねた親指を動かしながら膝裏を20秒ほぐす
刺激して気持ちよいと感じる場所を重点的にストレッチしましょう。
④反対側も同様にストレッチをする
左右の膝裏ストレッチを2セット繰り返してください。
膝窩筋のほぐし方②膝裏を伸ばすストレッチ
左右各15秒×2回ふくらはぎ、ひざ裏、太もも後ろを同時に伸ばす
オフィスなどで冷房を使用する夏の時期、1日中椅子に座り続けだと、足のむくみや冷えにつながります。まずは縮まったひざ裏を気持ちよく伸ばし、血行をよくしましょう。
急性腰痛のツボ
急性の腰痛(ぎっくり腰)などの場合、炎症反応がある場合は直接腰などの痛みがあるところを刺激するのではなく、膝窩筋をほぐしたり、膝裏にある腰痛のツボ「委中」や手の背面にある急性腰痛のツボ「腰痛点」などを刺激することで痛みが改善する場合もあります。
腰痛のツボが膝裏に!
『 委中 (いちゅう) 』
足腰に効くツボとして有名な委中。膝の真裏に位置し自分でもマッサージしやすい場所にあるため、かなり使えるツボです!
膝痛はもちろんですが、腰痛や下半身の疲れ、脚のむくみにも効果が期待できます。ちょっと歩き過ぎたという時や腰が重だるい時などに、このツボを押してみて下さい。
腰痛は膝裏でとると良いことは、下記の通り昔から良く知られています。
ちなみに上記の「委中」を含む下記の四総穴(しそうけつ)は、
昔中国ができる「明」の時代に書かれた「鍼灸聚英」(しんきゅうじえい)
という本に載っている4つの経穴を使用して全身の治療をするといったものなのです!
「鍼灸聚英」ができたのが1300年代後半から1600年代頃の為、
約500年前から使われているツボなのです!!
四総穴(しそうけつ):「足三里」「委中」「列欠」「合谷」
肚腹三里留 肚腹(とふく) は三里(さんり)に留め、 お腹は「足三里」
腰背委中求 腰背(ようはい)は委中(いちゅう)に求む。 腰は「委中」
頭頂尋列欠 頭頂(ずこう)は列欠(れっけつ)をたずね、 頭や首は「列欠」
面口合谷収 面口(めんこう)は合谷(ごうこく)に収む。 顔や口の中は「合谷」
腰痛のツボが手の甲に!
『 腰痛点 (ようつうてん) 』というツボは、手の甲にあります。
グーを作り、人差し指と中指のつけ根にある大きく飛び出た関節の骨の間と
薬指と小指の関節の骨の間をそれぞれ手首に向かってたどり、
指が止まるところが『腰痛点』というツボです。
ギックリ腰といった痛みが突然生じる急性腰痛症の痛みにも効くと言われています。
右側の腰が痛いときは右手の、左側の腰が痛いときは左手のツボを押します。
二ヶ所を同時に、5分程度押すと腰の筋肉が少しずつゆるんできます。
腰を少し動かせるようであれば、ツボを押しながら
腰を前に倒す、後ろにそる、左右にひねるなどゆっくり少しずつ動かします。
そのときに無理に動かしたり、勢いよく動かしたりすると悪化させることがありますので
無理のない範囲で動かしていきます。
そうすることで少しずつ筋肉がゆるみ、腰の動きが良くなってきます。
手にあるツボなので急に痛みで動けなくなった時にも、例えば電車の中などでもあまりひと目を気にすることなく、いつでも手軽にすぐ押すことができ、セルフケアに最適です♪
その他の腰痛のツボ
『崑崙(こんろん)』、『太衝(たいしょう)』いずれも足の血行を促進するツボです。崑崙は、ギックリ腰の急性期の痛みや、坐骨神経痛に有効と言われています。外側のくるぶしとアキレス腱の間の窪みのあたりです。
太衝は足の甲にあって、足の親指の骨と人差し指の骨が分かれるあたり。指の方からなぞっていって、少し高くなっているところです。
『復溜(ふくりゅう)』は、足腰の血行を改善することで、慢性の腰痛を和らげるように働くツボです。背中が張っているときや、むくみをとるのにも良いと言われます。
内側のくるぶしの最も高く膨らんでいる場所から、親指の最も太い部分の幅の2倍ほど上の少し後ろ側にあり、アキレス腱の縁のあたりです。
『帯脈(たいみゃく)』と『関元(かんげん)』は、お腹にあるツボです。
痛みが腹部にまで響くようなときには、脇腹にある帯脈を押してみましょう。肋骨の一番下の縁のさらにやや下にあたり、ちょうどおへその高さの水平線と交わる点が帯脈です。親指で、やや強めに押してください。ギックリ腰にも効果があるとされています。
関元は「へそ下三寸」にあるツボで、体の中心線上の、おへそから親指の幅3本分下あたりです。なお、ツボの位置を示す際に使う「寸」とは、親指の最も太い部分の幅のことです。関元を自分で押すときは、中指を使うと良いでしょう。痛みをかばう姿勢などのために緊張している腹筋を、解きほぐす働きがあります。
『腎兪(じんゆ)』と『志室(ししつ)』は、背中にあるツボです。
腎兪は腎機能に関連した症状に効果があるとされていますが、それ以外にも多くの効用があり、腰痛に対しても、慢性腰痛と急性腰痛の双方に有効とされています。ツボの位置はウエストのくびれの高さで、背骨から親指の幅1本半分ほど離れた左右両側です。
志室も腰痛に対して効果的なツボで、腎兪よりもやや外側の左右両側にあります。背骨から親指の幅3本分ほど離れた所です。
どちらも背中のツボなので、ご自身で刺激するときには、ボールをツボの位置に当てて椅子の背もたれに押し当てたりすると良いでしょう。